鍍金(めっき)とゴールドフィルド(金張り)と合金と純金

2017/10/27(初回更新:ブログ)
2022/04/16(最終更新)

はじめに

※ 以下に記載する内容は、あねが個人的に調べたものであり、専門家の解説ではございません
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どんな加工か知っていますか?

これを読んでいる皆様は「金色」のアクセサリーをお持ちでしょうか?
そのアクセサリーの金は、「めっき」ですか?「ゴールドフィルド」ですか?「合金」ですか?「純金」ですか?

「ゴールドフィルド(金張り)」という言葉に聞きなじみの無い方がいらっしゃるかもしれませんが、ものすごーーーーくザックリ説明すると、金めっきの分厚いバージョンです。
しかし、めっきとは違う工程で金色の素材が着けられていますので「めっき」ではありません。
そもそも「めっき」とはどういったものなんでしょうか。
よく聞く言葉でも、説明はできなかったりしますよね。

ここは、そんな疑問を「なんとなーく解決しよう!」というページです。
長い文は読めないよー…という方は、最後の<ギュッとまとめ>をご確認ください。


よくみる英数字はどういう意味?

めっきやゴールドフィルドの話を最初にしてしまいましたが、まずは「合金」と「純金」の違いについて説明します。

金と聞くと、なんとなく「18金」や「K18」「18K」という言葉が思い浮かびませんか?
なんとなく良いものなんだろうなと感じると思いますが、そもそもどういう意味なのかは知らなかったりする方が多いかもしれません。
「K」は「カラット(karat/carat)」というゴールドの純度を表す単位の頭文字で「金」のKではないのですが、「18K」も「18金」も同じ物で同じ意味です。
英語を2種類書いたのは、アメリカ英語(前者)とイギリス英語(後者)で綴りが異なる為で、イギリスやフランスでは「18ct」と略称されるようです。
最近は「KN」と書かれているものも見かけますが、一般的な表記の仕方ではないんじゃないかな?と思っていて、私の知識ではどういう意図でつけられたのか分からないので、同じ意味だよ!とは言い切らないでおきます…。

ところでカラットといえば、ダイアモンドを思い出しませんか?
こちらは宝石の質量を表す単位なんですが、金のカラットと語源は同じだそうです。
宝石のカラットは全世界共通で「carat」なので、イギリス英語の金のカラットと同じ綴りになります。
これ以上詳しいことは、よく分からないので割愛しますが、意味は違うけど同じ単語だよということです。

Kは単位ということがわかりましたが、数字は何を表しているのでしょうか。
金属の「金」そのものを「純金」や「本金」と呼びますが、数字で表すと「24金」になります。
これを24/24、つまり100%と考えると、

「10金」は10/24なので約42%
「12金」は12/24なので約50%
「14金」は14/24なので約58%
「18金」は18/24なので約75%

の割合で『純金が使われている』という意味になり、残りは別の金属が使われていることになります。
このように、2つ以上の金属が混ざっているものを「合金」と呼び、金を含有しているものは「金合金」や「ソリッドゴールド」と呼ばれることがあります。

上記のような表示の他に千分率という表示方法があります。
パーセント(1%=1/100)ではなく、パーミル(1‰=1/1000)を使う計算方法で、

18金であれば「金750」や「Au750」(金が約750‰=約75%使われている)
14金であれば「金585」や「Au585」(金が約585‰=約58.5%使われている)

など、より分かりやすく金の含有率を表示することができます。
ちなみに「Au」は金の元素記号で、千分率表示のときはこちらを使うのが一般的なようです。
金ではありませんが、よく目にする千分率表示「シルバー925 (Ag925)」は、「純銀が約925‰使われている」という意味になります。

余談ですが、千分率表示の24金は「Au1000」とはならず、「Au999」になるそうです。
24金=純金=純度の高い金ということで、99.9%以上の金が含まれていれば、純金という扱いになるからだと思われますが、金属の世界はこういった事が多いので、調べれば調べるほど頭がこんがらがってきます(笑


「18金」の残り「25%」はなんの金属なの?

めちゃくちゃ曖昧になりますが「純金以外の金属」です。
金に限らず、貴金属に混ぜ合わせる金属は「割金(わりがね)」と呼ばれていますが、割金を何にするかは使用目的によって変わるので、「金の割金は絶対にこれだよ!!」とは言い切れないのです。
色味の変更にも割金が重要な部分を担っていて、一般的な金色である「イエローゴールド」、少し薄めの「ライトゴールド」、赤みが強めの「ピンクゴールド」、白みのある「ホワイトゴールド」等、それぞれの色を出すために割金が異なります。
言い切れない…とは言いましたが、基本的な割金は「銀」と「銅」であることが多く、銀が多めだと黄色みが強くなり、銅が多めだと赤みが強くなります。
他に「パラジウム」という金属を入れると、白みが増すそうです。
商品によっては「K18YG(イエローゴールド)」「K18WG(ホワイトゴールド)」と表記されることもあり、たぶんこの金属が割金なんだろうなー…という予測はできるかもしれません。

ホワイトゴールド=白金ではありません

金属について特に調べていなかった頃、いつも「白金」という言葉に惑わされていました。
この字の並びだと「白い色の金」だと思ってしまいませんか?
しかし「白金」は『プラチナ』の事を指しており、『金』とは異なる高級な金属=貴金属です。
プラチナがオランダ語で「白金」と呼ばれていたのを、そのまま日本語で訳したため『白金』になったと言われています。
「金」の「ホワイトゴールド」を日本語に訳す場合は「白金色」と訳すのが最適のようです。
「でも、その書き方だとプラチナ色だと間違われない?」と思ってしまいますが、そもそもプラチナの代替品として白金色のものが使われ始めたようなので、あながち間違いではない…かな?(笑

よもやま話ではありますが、ポケモンに「はっきんだま」というアイテムがあり、このアイテムは「プラチナ」で初登場するものです。
つまり「白金玉」ということですね。


なぜ他の金属を混ぜるの?

用途によって様々な理由がありますが、アクセサリーに関する主な理由は「色みの変更」と「強度の向上」だと思います。
前述のとおり、割金の配分によって色を変えることができますし、柔らかすぎる金属を合金にすることで強度が向上し、使いやすくなったりします。
アクセサリーはある程度衝撃を受けますので、傷つきやすく壊れやすいものをそのまま使うより、ある程度強度を持たせたほうが安心です。


金めっき・金張り(GF・ゴールドフィルド)・金合金(ソリッドゴールド)の違いは?

「合金」や「金合金」が素材の話だとすると、「めっき」や「ゴールドフィルド」は加工の話になります。
合金や金合金は、表面をひっかけようが、削ろうが、切り落とそうが、中から違う素材が出てくることはありませんが、めっきやゴールドフィルドの多くは、中に違う金属を使用しています。
以下、中の金属のことを「素材」と表記します。
めっきやゴールドフィルドは『素材をどう包むか』という話で、簡潔に説明すると「金素材のつけ方」と「金素材の厚さ」という違いがあるのですが、おそらく何も知らない人にそれぞれの加工を施された商品を見せても、パッと見では違いが判らないのではないかと思います。
では、いったい何が違うのか、少し説明していこうと思います。

「金めっき(鍍金)」

金色の金具に施されている、一般的な加工方法です。
漢字で「鍍金」と書き、読み方は「めっき」です。
カタカナで書かれることが多いので、和製英語のように見えますが日本語なんです。
めっきの方法は何種類かありますが、アクセサリー用の金属には「電気めっき」が施されている事が多いようです。
電気めっきの工程をザックリ説明すると『芯となる素材をマイナス極、めっきとして使いたい金属をプラス極として、電気分解を起こし、表面に科学的に被膜する』という流れみたいです。
電気を流すとなぜかめっきされるんです…なんのこっちゃ分からないですよね?私もなんでそうなるのか分からないです(笑
めっき後の物の状態をイメージ化すると、『フィルム素材(めっき材)で、物(素材)をラッピング(被膜)している』感じでしょうか。。
衝撃や長時間の使用でめっきが剥がれ、素材が出てきてしまうという弱さがありますが、一番安価です。

めっきで地味に難しいのが、表記の仕方です。
「金めっき(金合金めっき)」と「金色めっき」は厳密には別物です。
「金めっき(金合金めっき)」は『純金または純金を割金したものを、めっき用の金属として使用し、めっきしたもの』
「金色めっき」は『純金を全く使っていないか、割金の割合が極端に多い金属を使用し、金色に見えるようにめっきしたもの」といった違いがあります。
しかし、ハンドメイドで使用されている「装飾用のめっき」は、金合金と違って貴金属の比率と必ず一致するものではないらしく、区別して記載されている所は少ないです。
そのため「金めっき」と記載されていても「金色めっき」の可能性があります

金合金と違って比率が決まっているわけではない…と書きましたが、近年は「K18GP」や「K16GP」などの記載がされている商品がよく販売されていますよね。
この「GP」という英語は「Gold plated」の略で「金めっき」という意味で使われています。
意味としては、記載カラット相当のめっきを施している…という意味かと思います。
私が使用しているパーツも金を含有しているの物が多いので、「記載した方がわかりやすい!」とは思うのですが、一貫して記載しておりません。
というのも、先ほどの「比率と一致しない」というお話、めっきパーツや貴金属を自社で行っている会社さんに直接聞いたお話だったので、プロが言うならそれに倣おうと思い、そうしています。
一応業界ではそういった方針があるようなので、「K16GP」なども、カラット数を「色名」として使っているだけではないのか?という意見があったりします。
このような記載がある商品を否定するわけではありませんし、技術が進歩してきているので、比率の一致ができるようになってきたのかもしれませんが、カラット数が高い割に安すぎる商品などは、じっくり説明文を読んだりして確認などをした方が良いかな?とは思います。

「金張り(ゴールドフィルド)」

製品自体の重量に対して、1/20(5%)に相当する金合金を張り付ける加工をしたものです。
厳密には金張りの方法の中に「ゴールドフィルド」があるそうで、正しい金張りの英語は「ゴールドオーバーレイ」なんですが、ゴールドフィルドという加工方法が有名なので、金張り=ゴールドフィルドと呼ばれることが多いようです。
ゴールドフィルドの工程をざっくり説明すると、『芯となる素材に、貼り付けたい金属を、熱と圧力で物理的に接着する』という流れみたいです。
ゴールドフィルド後の状態をイメージ化すると、『物(素材)に厚紙(貼りたい金属)をアイロンを押し付けて張り付けた(圧着)』感じでしょうか。
めっきと比べて衝撃で剥がれにくく、経年劣化もしにくいですが、めっきより高価です。

めっきと違い、貴金属の比率と一致させることができるので、カラット数を明記できます。
海外では10金や12金のもの等もあるようですが、日本ではあまり馴染みがなく、14金のものが多く流通しているので、ゴールドフィルド=14金とイメージする人が多いと思います。
めっきより厚みがあるので刻印することが出来、大きめのパーツには「1/20 14K」や「14K GF」と書かれていたりするので、知ってさえいれば、めっきパーツと区別をすることができます。

ゴールドフィルドは5%しか金合金素材を使ってないの?

5%と聞くととても少なく感じますが、製品の重量の5%を素材に貼るためだけに使うということなので、実は結構な量なんです。
金めっきと比べるととても暑いのですが、じゃあどれぐらい?という話になりますよね。
私もどれぐらい厚いのか調べたんですが、調べれば調べるほど判断しづらくなってしまいました。
金めっきと比べて「2~30倍厚い」という所と「100倍厚い」というところが多いです。
差が激しいですよね(笑
おそらく比べた「基の金めっき」の違いで、この解釈の違いが生まれているのだと思うのですが、これも憶測であり、私は専門家ではないのでどちらが正しいとは言い切れません…。
ただ、めっきでは絶対に出せない厚さであることは間違いありません。


厚さにこだわっているけど、厚いと何がいいの?

輝きの持続時間が異なります。
金合金製品の場合、くすんできたな…と思ったら、専用の液剤等でクリーニングをすることで元の輝きに戻すことができます。
「磨く」ということは、私達には分からないほどですが「摩耗」させることになりますので、めっきパーツにはできないお手入れの方法ですが、厚みのあるゴールドフィルドの場合、金合金製品と同様に、クリーニングすることが可能だそうです。
ただ、金合金と違い、ゴールドフィルドは張り付けしているだけなので、素材という底があります。
限界は必ず来てしまうので「長いけれど永遠ではない」ということは、忘れないようにしましょう。
とはいっても、金めっき製品と比べると、ずっとずっと長く使い続けることができるますので、手の届く範囲で驚異の持続力というのが、ゴールドフィルド製品が人気である理由の1つだと思います。

また、厚みがあることによって、アレルギーの対策品にもなります。
アレルギーに関しては、〔金属アレルギーの話〕にまとめていますので、読んでいただけると嬉しいです。


それぞれをギュッとまとめると…

思ったより長くなってしまいましたが、今までの文章をギュツと1行で表しますと

純 金 ⇒ 99.9%以上の金(K24)で出来たもの。
合 金 ⇒ 金属と金属を合わせたもの。金を含有している場合は金合金と呼ばれることもある。
めっき ⇒ 主に素材に合金を被膜する加工
金張り ⇒ 主に素材に合金を熱圧着する加工

またこれを、それぞれ『K14』を使用したとして簡単に説明をすると

K14 ⇒ 全て約58%の金が含まれている合金でできていますよ。
K14GF(ゴールドフィルド) ⇒ 約58%の金が含まれている合金を、素材に熱圧着(金張り)していますよ。
K14GP(めっき) ⇒ 約58%の金の金が含まれている合金を、素材に被膜(めっき)していますよ。
(↑ただし、この表記方法の場合は色がK14に似ているだけの金いろめっきである可能性もあります)

当店では、教えてくれた店舗に倣い、めっき製品に「K〇GP」のようなカラット数の記載をしていませんが、間違いなく「金」を含有しているめっきを使用したパーツがあります。
カラット数なしで違いをどう説明しよう…と悩んだ結果、当店では【金めっき】と【金色めっき】に分けて表記することにしました。

【金めっき】  ⇒ 金を割金した合金を、素材にめっきしています。
【金色めっき】 ⇒ 金の使用は不明ですが、金色に見えるめっきをしています。

よく見かける名前だけど、なんなのか分からなかったー…という方が、ちょっとでも「なるほどなー」と思ってくれたらうれしいです。
読んでくれてありがとうございました。
ではではー。