2021/11/05(最終更新/文章校正)
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アクセサリーに使われる主な金属
『ゐろふくや』で取り扱っている金属を中心に、どのような特徴があるのかまとめてみました 当店での使用状況も記載しておりますが、下記金属にメッキを施したパーツを使用しておりますので、どのようなメッキをしているかは「基本パーツの素材」をご確認ください。
黄銅(真鍮)
黄銅は「銅」と「亜鉛」の合金(合わせて作った金属)で、『真鍮』と呼ばれることが多く、ゐろふくやでもそう呼んでいます。 後述する丹銅も大きく括ると黄銅の一種ですが、一般的には黄色みが強いものを指します。
適度な強度を持ち、安価で加工もしやすいため、アクセサリーのパーツとして最もよく利用されている金属ではないでしょうか。 水分に弱いので錆びやすく、酸化によって変色しやすいのがデメリットですが、逆に変色を持ち味として、メッキをせずにそのままパーツとして利用することで、真鍮の独特な風合いを楽しむこともできます。
汗などの水分が付着したまま、メッキをしていない(剥がれている)ものを長期間保管していると、「緑青」という、名前の通り青っぽい緑色の「錆」が発生することがあります。
緑青には金属内部の腐食を防ぐ効果や抗菌力があるそうで、劣化を防ごうとして発生するようですが、触れると色がうつるため、一緒に保管しているもの等も汚してしまう可能性があるので注意しましょう。
余談ですが、この緑青という錆は、昭和後期まで猛毒であると信じられていたそうで、危険なものと認識している方は、そういった話を聞いたことがあるのかもしれません。
しかし、研究によって「大量に経口摂取しない限りは無害に等しい」という結果が出ていますので、手についても慌てず、他の物を汚さないようにきちんと手を洗いましょう。
当店の『金属パーツ(カン・ピン・チェーン・イヤリング)』は真鍮素材に、めっきをしたものが多いです。
丹銅
黄銅の一種で「銅」と「亜鉛」の合金ですが、真鍮より銅の配合が多いです。 そのため、黄銅より赤みが強いのが特徴です。
赤みが強いので、英語では「レッドブラス」と呼びますが、これを直訳した「赤銅」は丹銅と別の物(銅と金の合金)だそうなので、混合しないように気を付けましょう。 尚、真鍮は「イエローブラス」、レッドブラスよりも亜鉛の配合が多く、イエローブラスよりも亜鉛の配合が少ないものは「ゴールドブラス」と呼ばれており、この英語の呼び方に関しては楽器などで重要視されているそうです。
当店の『チェーン』は丹銅もしくは真鍮素材に、めっきをしたものが多いです。
洋白(洋銀)
洋白は「銅」「亜鉛」「ニッケル」の合金です。 真鍮と同じような素材で作られていますが、「ニッケル」が加わることによって真鍮よりも強度がかなり増し、耐疲労性・耐食性に優れているため、アクセサリーでは強度を求める箇所に使われる事が多いです。
色が銀白色なので銀の代用品として洋食器などにも使われることがあり、「洋銀」とも呼ばれていますが、合金の中に「銀」は含まれていません。
当店では真鍮より強度を必要とする『金属パーツ(カン・ピン)』の一部に、めっきをした洋白素材を利用しています。
ステンレス・サージカルステンレス
ステンレスは『不導体被膜(酸素に触れることで金属の表面に形成される被膜)』ができるので、アレルギー原因物質が溶け出しにくくなり、アレルギー対策品としても人気が出ています。 中でも「SUS316L」や「SUS316」と分類されているステンレスは『サージカルステンレス』と呼ばれており、ステンレスの中でも錆びにくい方に分類されるため、アクセサリーにもよく利用されている素材です。 しかし、ステンレスは錆に強い金属ではありますが、他の金属から「もらい錆」をしたりしますので、絶対に錆びない素材というわけではありませんし、絶対にアレルギーが出ない素材というわけでもありません。 金属の特性を過信しすぎず、使用後のふき取りなどお手入れを忘れないようにすることで、長い間使い続けることができるアクセサリーになると思います。
尚、「サージカルステンレス」という呼び方は俗称(あだ名のようなもの)なので、当店では一律して『ステンレス』と記載しておりますが、なるべく種類記号(SUS316L等)が分かるもののみ使用し、一緒に記載するようにしています。
当店ではメインの『金属ピアスパーツ(ポスト・フック)』に利用しています。
チタン
今までの紹介したものは金属を合わせて作った「合金」と呼ばれるものでしたが、チタンは『チタン』という金属です。 耐食性(錆等)が強く、軽くて硬いため、アクセサリーのパーツに向いている素材…ではあるのですが、硬すぎて加工がしにくいため、チャームやイヤリング等、複雑な形状のものはあまり出回っていません。
アレルギー物質が溶け出しにくいことに加え、ステンレスと同じく『不導体被膜(酸素に触れることで金属の表面に形成される被膜)』をつくるため、アレルギー対策品として人気です。 絶対にアレルギー症状が出ない素材ではありませんので、ステンレス同様こちらも過信は禁物ですが、アレルギーになりにくくて手に入りやすい素材としては一番かな?と個人的には思っています。 めっきが定着しにくい素材なので、生地の状態で使われることが多く、カラーバリエーションが無いところはデメリットかもしれません。
当店では『直付けピアスパーツ』の素材として使用しており、交換パーツとして『ピアスフック』もご用意しております。
『純』って?
アクセサリー素材で選ぶチタンは「純チタン」と呼ばれるものが、より安心です。 純といえば「純金」「純銀」等が思い浮かぶと思いますが、果たして「純」にはどういう意味があると思いますか? 過去の私は「100%純粋の純じゃないの?」と考えていましたが、実は『純度が高い』の「純」なので、どちらかというと『ほぼ100%』という意味なんです。
金属の「純」の基準は一定では無く、用途や金属によって変わります。 例えば「金」の中でも「金の延べ棒」等の『地金』と呼ばれるものの場合は「金を99.9%以上使用している物」と定められており、決まった含有率でなければ「純」を名乗れません。 0.1%違う物が混ざっていたとしても「純金」と名乗れますが、0.2%混ざっていたら「金」になります。 ただし「純度の高い金です!」と書いてある場合「純金」の可能性も「金」の可能性もありますので、ちょっと意地悪なお店には注意しましょう。
純度が高ければ素材そのものに近いということですので、アレルギー対策品として扱う場合に重要となります。 チタンは日本の規格だと何種か分類がありますが、決まった含有率(約99.4%以上)以外のチタンは、日本で『純チタン』と名乗れません。 純が付いていないものは「チタン合金」や「チタンめっき」の可能性があり、そうなるとチタン以外の成分が多くなるため、アレルギー対策品としては不十分になってしまう場合がありますので、アレルギー対策を重視するのであれば、購入前にちょこっと調べてみた方が安心かもしれません。 尚、当店では、純チタンと分かるものを使用するようにしています。
金/ゴールドフィルド
『金』はよく知られている金属ですが、『ゴールドフィルド』は金属ではなく加工の種類です。 「18金」の「18」の意味や、ゴールドフィルドについてなどは<鍍金と金張りと合金と純金>にまとめていますので、読んでくださると嬉しいです。
「金」の金属としての特徴は耐食性(錆等)に強いところで、長い間輝きが持続するため、今もなお人々を魅了しているのだと思います。 また、展延性(破れずに伸びやすい)に優れていて、金属の中でもっとも薄く延ばすことができるそうで、その特徴を最大限に活かして「金箔」などを作ることもできますが、逆にその柔らかさがデメリットでもあり、他の金属のようにパーツとして使うとなると、耐久性があまりよくないという部分があります。 そのため、合金にして硬度を上げたものをアクセサリーの素材や材料として使うことが多いです。
当店は、金めっきの『金属パーツ(ピン・カン等)』を多く使用しており、ゴールドフィルドは『ピアスフック・Cカン』を交換パーツとしてご用意しております。
銀・シルバー925
『銀』は金属ですが、『シルバー925』は合金です。 「925」という数字は千分率表示と呼び、銀が含まれている割合を表示したものです。(計算方法は<鍍金と金張りと合金と純金>内にございます) 純銀は非常に柔らかい素材のため、アクセサリーではシルバー925を扱うのが一般的となっています。
ところでシルバーといえば、黒ずむイメージがありませんか? 金属で黒ずむといえば「酸化」を思い浮かべますが、日常で生活する範囲内(常温)だと「純銀」は酸化が起きにくいため、空気や肌に含まれる硫黄に反応して黒ずむ『硫化』という現象が起きている可能性が高いです。 ただし「シルバー925」等の合金の場合は銅を含むことが多いので、その銅が酸化して黒ずむということはあるそうです。 日常的に利用することを考えると、黒ずむというのはあまり好ましくない現象ではありますが、強制的に硫化させることで「銀古美」というアンティークのような風合いを出す加工技術もあります。 金よりも銀の方が比較的アレルギーになりにくい素材といわれているため、金属アレルギーの方にも人気の素材です。
当店では基本パーツを取り扱う予定はありませんが、使用している『ワイヤー』のめっきに銀が使われています。
銅
「金」や「銀」に並んで有名な金属の「銅」です。 真鍮や洋白などの合金や、めっきの割金の材料として多く扱われ、アクセサリーには欠かせない存在です。
単体でも強度はあるので、近年では「銅単体」素材にめっきをしたパーツ等も販売されているようですが、合金にすることによってより強度が増すため、銅と亜鉛の合金である「真鍮」の方が一般的に利用されています。 柔らかいため、ワイヤーの素材として扱われることが多く、海外ではめっきの無い銅線を好んで使う方を多く見かけます。
新品の10円玉と、使い古した10円玉を思い出していただければ想像しやすいかと思いますが、銅は酸化による変色が顕著にあらわれる素材で、ピンクのようなきれいな色は長く持続せず、茶黒く変色してしまいます。 めっきに「ピンクゴールド色」というものがありますが、こちらは銅の配分が多いため、他のめっきに比べて色の持続が難しいです。 また、10円玉でもたまに見受けられますが、錆である緑青が発生しやすいので、水分等にはご注意ください。
当店では基本パーツを取り扱う予定はありませんが、使用している『ワイヤー』の素材が銅の場合がございます。 また、ピンクゴールドめっきのパーツを利用した作品がございます。
鉄
「鉄」は、最も有名な金属かもしれません。 その硬さと加工のしやすさから、人類の道具の歴史には欠かせない存在で、身近な色んなものに使われており、「鉄分」として生きる為に必要な栄養素でもあります。
幼い頃に触れることが多かった「鉄」といえば「鉄棒」ではないでしょうか? 「手についた鉄の臭い」を懐かしく感じる方も多いかもしれませんが、これは汗などに含まれる成分と鉄が反応して生じる臭いで、鉄単体の臭いではないそうです。 水分にとても弱いので赤錆が生じやすく、錆びると途端に脆くなります。 鉄棒などの太いものであれば錆びても強度はありますが、華奢なパーツが多いアクセサリーにはあまり向いていない素材かな?と、個人的には感じています。
しかし、錆びていない状態だと強度があり、安価で加工の自由度が高いため、オリジナルのメインパーツなどを作るには使いやすい素材かもしれません。
当店では、鉄を使った基礎パーツの扱いはございません。
ロジウム
聞きなじみが無いかたもいらっしゃるかもしれませんが、「ロジウム」という金属です。 とても硬い金属のため、ロジウムそのものを素材として扱う事はほぼありませんが、その固さをメリットとし、めっき・コーティングによく使われます。 白金(プラチナ)族の一種で、「プラチナ仕上げ」と書かれているものは「ロジウムコーティング」である確率が高いです。
「銀白色のメッキ=ロジウムめっき」というのが当たり前な時代があったので、今でも銀白色のものを「ロジウムカラー」と呼ぶお店が多いようですが、希少である事に加え、近年はアクセサリー以外の需要が急増した為、毎年価格が高騰し続けており、必ずしも「ロジウムカラー=ロジウムを使用しためっき」というわけではなくなっています。 代わりにロジウムを含まない『代用ロジウム』というものが主流となってきて、「ロジウムカラー」と記載されている商品は代用ロジウムめっきを使用しているのがほとんどのようです。 ロジウム自体は水に溶けにくく、アレルギーになりにくい素材と言われていますが、ロジウムカラーに似た色をだす素材の中で「ニッケル」等はアレルギーになりやすい素材と言われている為、アレルギー対策品購入時には注意が必要です。
一部を除き、当店の『銀白色の金属パーツ』は純ロジウムめっきを使用したものが多いです。 そのため、金めっき品と比べ、高額になっておりますことを予めご了承ください。
『ピアス』や『イヤリング』に関しては、純ロジウムめっきを使用したものを「パーツ交換限定品」としています。
ニッケル
合金ではなく「ニッケル」という金属です。 ニッケルそのものをアクセサリーの素材として使う事はあまりありませんが、他の素材と合わせることによって色を銀白色にしたり、強度を増したりすることができます。 めっきの下地に使用すると、メインのめっきが剥がれにくくなったり、艶が出たりするため、めっき製品の多くで使われている素材です。
安価でとても便利な為、利点は多いのですが、とても大きなデメリットがあります。 ニッケルは、金属アレルギーの原因になりやすい素材なのです。 詳しくは<金属アレルギーの話>に記載しておりますが、ニッケルアレルギー患者さんが増えたことにより、なるべくニッケルを含まない「ニッケルフリー」の製品が増えてきています。 しかし、「ニッケルフリー」はニッケルを使用した下地があるものよりメッキが剥がれやすくなるため、めっきの下の素材がむき出しになってしまうスピードが速くなるので、完全な対策品とはならないのが悩みどころです。
当店で使用しているメッキパーツは「ニッケル下地」のものと「ニッケルフリー」の物が混在しております。 ポストピアスなどはニッケルフリーのものを使用しておりますが、ご不安な点などございましたらお気軽にご確認ください。